主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

使徒の働き23:1-35 「神のみこころのままに」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」(箴言19:21)

【礼拝メッセージ要旨】

ユダヤ人たちからの訴えを受けて、パウロはエルサレムとカイサリアの町で裁判を受けることになります。この困難を通しても、神はパウロをあるところへと導こうとされていました。

1)サンヘドリンでの弁明
ローマ軍の千人隊長は、訴えを起こしたユダヤ人指導者たちの言い分を聞こうとして、ユダヤ人たちの議会(サンヘドリン)を招集します。彼らの前でパウロは、自分はこれまで、神の前に健全な良心に従って生きてきたと弁明し、大祭司に対して「白く塗った壁」と言って、彼らの間違いを指摘します。また、「自分はパリサイ人であり、「死者の復活」のことでさばきを受けている」と証言したことを巡って、サドカイ人とパリサイ人の間に論争が起きて、彼らは一致できずに議会は紛糾してしまいます。

2)主の励ましとパウロへの暗殺計画
その夜、主はパウロに語り掛けます。「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことを証ししたように、ローマでも証しをしなければならない。」(11) あなたはローマに行くのだと、具体的な道が示されたのです。パウロは、この言葉に大いに励まされたことと思います。
一方で、一部のユダヤ人たちがパウロの暗殺計画を企てます。しかし、その企てはパウロの甥にあたる青年に聞かれ、千人隊長に伝えられ、パウロはその夜のうちにカイサリアへ護衛付きで送り届けられます。パウロがローマ市民権を持っていたことで、彼はローマの権威によって守られました。

3)カイサリアでの裁判と皇帝への上訴
そうしてパウロは、カイサリアの総督フェリクスのもとに送られて、そこで正式な裁判を受けることになります(24章)。しかし、そこでも困難が待ち受けていました。フェリクスのもとでの裁判では判決が出されずに、裁判が延期されてしまいます。そして2年間、パウロはカイサリアの町で牢に入れられ、監禁されてしまいます。そして、フェリクスの後任のフェストゥスのもとで改めてパウロの裁判が開かれました(25章)。その時パウロはローマ皇帝に上訴し、それが受け入れられてローマで裁判を受けることになります。さらに、フェストゥスの裁判の数日後、ユダヤの王アグリッパの前で弁明の機会が与えられます(26章)。「あの人は、死や投獄に値することは何もしていない」これが彼らの判断でした。

4)神のご計画が成る
この4回の弁明の機会を通して見えてくることがあります。それは、「神のご計画が成る」ということです。一連の出来事には、様々な人の思いが現れていました。何とかしてパウロを抹殺しようとして、ローマの権威に働きかけたユダヤ人指導者たちの姿があり、用意周到に暗殺を企てたユダヤ人たちがいました。しかし、どれも彼らの願った通りにはいかなかったのです。彼らの訴えは受け入れられず、パウロの甥の勇気ある行動によってパウロは暗殺の危機から救われました。時の権力者たちは、自分たちの都合の良いようにパウロに関わりますが、彼らも不思議と用いられてパウロは守られました。パウロがローマ市民権を持っていたことも大いに役立ちました。こうして、様々な人の思いや出来事、また世の権力やローマ市民権も、あらゆるものが用いられて、パウロは守られ、神が約束された通り、ローマへの道が開かれていきました。その背後には、神の深いご計画があったのだと思います。神は、この時パウロをローマへと導こうとされていました。

「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」(箴言19:21) 人は、いろんな思いを心に抱きます。それでも、そうした人の思いや営みを通しても、神がご計画されたことは実現していくのだ、と言っています。だからと言って、神が人を操り人形のように操るということではありません。私たちの人生にも、神様はご計画を備えておられて、私たち一人一人にとって一番良い道へと導こうとされておられるのではないでしょうか。

5)神の約束を信じて祈り続ける
パウロの姿から、もう一つ大事なことを教えられます。それは、「どんな困難の中でも神の約束を信じて祈り続ける」ということです。この一連の困難の中で、パウロはただ受け身でいたのではありません。自分ではどうすることもできない状況の中でも、彼は祈っていました。「勇気を出しなさい。あなたはローマでも証しをしなければならない。」このイエスの励ましの約束を信じて、決して悲観せずに、祈り続けていたのではないでしょうか。「自分にはまだまだやるべきことがある。」「必ずここから出てローマに行くのだ。」そんな希望を持ち続けていたと思います。そんなパウロの祈りに、神は答えられました。そして、ローマへの道が開かれていったのです。あのエジプトに売られた「ヨセフ」もそうでした。兄たちから妬まれて、遠いエジプトに奴隷として売られ、そこでも濡れ衣を着せられ監獄に入れられてしまいますが、彼は決してめげませんでした。神に祈りながら、そこで自分にできることを忠実に精一杯やったのです。そんなヨセフの祈りに神は答えられて、彼を用いて大きなご計画を進められました。

私たちも、こうした姿にならいたいと思います。どんな困難の中に置かれても、神様が共にいてくださることを決して忘れないでいたいと思います。くさらず、悲観することなく、神様に信頼し、希望を持ち続けたいと思います。そして、自分の身を通して神様のご計画、みこころが成るようにと、祈り続けてまいりましょう。