主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

創世記45:1-28 「人知を超えた神のご計画」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。(創世記45:8)

【礼拝メッセージ要旨】

今日の箇所には、ヨセフがいよいよ身を明かして、兄弟たちと本当の意味で再会を果たす、という場面が描かれています。ヨセフは、これまでの出来事を振り返って、ある大きなことに気づかされていました。

1)ヨセフ、自分の身を明かす
ユダの必死のとりなしを聞いて、ヨセフは自分を制することができなくなり、人払いをして声を上げて泣きました。そして、兄弟たちに「私はヨセフです」と身を明かします。この衝撃の事実に、兄弟たちは声も出ないほどに驚きました。この時、ヨセフに対する恐れも抱いたかもしれません。そんな彼らにヨセフは語り掛けます。「今、わたしを売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません」(5)何と、自分を憎み、エジプトに売った兄たちのことを思いやりました。ヨセフは、兄たちが謀った悪を一切責めることをせず、赦したのです。ここに、ヨセフの高潔さを見る思いがします。彼はどうしてそうできたのでしょうか。神様を見ていたからだと思います。彼は困難の中でも、いつも主に祈っていました。その祈りを通して、これまでのすべての出来事が神のご計画の中にあったことを知りました。「だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです」(8)自分が兄たちに憎まれ、エジプトに売られ、苦しみを受けたことも、家族を救うために大きな神のご計画の中でなされたみわざであることを理解したのです。ヨセフは広い視野をもっていました。私たちは、目の前の小さなことに心が囚われて、周りが見えなくなってしまうことがあるように思います。でも、神様を見つめて行く時に、その狭くなっている視野が広くされます。
ヨセフは、兄弟たちに、父を連れてエジプトに移り住むようにと伝え、兄弟一人一人と抱き合って泣いて、再会を喜び合いました。

2)パロの喜び
ヨセフの兄弟たちがエジプトに来たことはパロにも伝えられ、パロも家臣たちも自分のことのように喜びます。そしてパロは、できる限りの最高のもてなしをしてヨセフの家族をエジプトに迎えようとしました。それもすべてヨセフのゆえにでした。それほどまでにエジプトはヨセフに感謝していました。ヨセフの主にある高潔な生き様が、異国の人々の心を動かしたのです。

3)父ヤコブの喜び
兄弟たちは、ヨセフからの多くの贈り物を携えて父ヤコブのもとに帰り、すべてを洗いざらい話します。「ヨセフはまだ生きています。しかも、エジプト全土を支配しているのは彼です」(26)最初信じることができずにぼんやりしていたヤコブは、息子たちの話を聞き、ヨセフが送ってくれた車を見てようやく信じて安心することができました。ヤコブにとって、死んだと思っていたヨセフが生きていると分かったことが何よりもうれしいことでした。彼は、全能の神に委ねてヨセフをも取り戻したのです。

4)人知を超えた神のご計画
最後に、今日の箇所から「人知を超えた神のご計画」ということについて考えてみたいと思います。ヨセフは、これまでのすべての出来事が神のご計画の中にあったことを知りました。「神のご計画」というと、神様がすべての事を計画されて、一つ一つのことを操っているかのようにも聞こえます。しかし、そういうことではありません。人には自由意思が与えられています。私たちは全く自由に考え、選択し、行動します。私たちは決して神の操り人形ではないのです。それにもかかわらず、神のご計画がなされていきました。このことから分かることは、私たち人間には神様のみこころを知り尽くすことはできないということです。神様のみ思い、ご計画は、人の思いをはるかに超えたところにあります(イザヤ55:9)。時には、私たちには理解できないことも起こります。ヨセフの身に起こったこともそうでした。それでも、人から謀られた悪も、ききんも、神様のご計画のうちに取り込まれていったのです。

実は、神様がヨセフを通してなされたご計画はこれで終わりではありませんでした。神様ははるか先を見通しておられました。400年後、ヤコブの子孫はエジプトを去って、またカナンの地に帰って来て、イスラエル国家を築きます。そして、彼らの子孫としてイエス・キリストが生まれてきます。イエスは人の謀った悪によって十字架につけられますが、そのことによって罪人に罪からの救いと永遠の祝福がもたらされることになります。神の壮大な救いのご計画が成し遂げられていったのです。

私たちも、この人知を超えた神のご計画の中に入られています。私たちが救われたのは私たちの働きによるのではなく、神のご計画と恵みによるのです(Ⅱテモテ1:9)。このことを感謝して受け止めたいと思います。そしてこれからも、恵みによってこの世界を保ち、歴史を支配されておられる全能の神様が私たちの人生を導いてくださると信じて、このお方に信頼して歩んでまいりましょう。