主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

使徒18:1-17 「恐れないで語り続けなさい」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。わたしがあなたとともにいるので、あなたを襲って危害を加える者はいない。この町には、わたしの民がたくさんいるのだから。」(使徒の働き18:9,10)

【礼拝メッセージ要旨】

パウロはアテネを去ってコリントへ向かいます。彼はその町で神様から大きな励ましを受けます。神様はパウロをどのように力づけたでしょうか。

1)コリントの町へ
パウロはアテネを去ってから西へ70キロほど離れたコリントの町にやってきます。コリントは東西南北に通じる交通の要衝であり、交易によって非常に繁栄した町でした。町には西側と東側にある2つの湾があり、東西の海をつなぐ重要な航路ともなっていました。一方で、人と富が集まるコリントには人間の欲望も渦巻いていて、道徳的に乱れた雰囲気がありました。パウロは、そんなコリントの人々にもぜひ福音を伝えたいと願ったようです。

2)アキラとプリスキラとの出会い
パウロはこの町で、アキラとプリスキラというユダヤ人夫婦に出会います。彼らはローマから追われてコリントに移り住んで、天幕作りの店を営んでいたようです。同業者でもあったパウロは、この仕事を通じて彼らと出会い、以来、彼らはパウロの良き協力者となります。やがてシラスとテモテがマケドニアで集めた献金を携えてパウロに合流し、パウロは福音宣教に専念します。遠く離れたマケドニアの兄弟たちからも大きな励ましを受けました。

3)ユダヤ人の反発と広がる宣教
パウロはこの町でもユダヤ人の会堂で福音を語りますが、彼らはパウロを口汚くののしりました。ついにパウロは「今から私は異邦人のところに行く」と宣言して、会堂を出て、隣にあったティティオ・ユストの家に招かれて集会を開き、自由に福音を語ります。そこに多くの町の人々が集まり、福音を聞いて救われていきました。何と、ユダヤ人の会堂司であったクリスポまでもが家族そろってイエスを信じてパウロのもとに来たのです。

4)パウロの恐れと主の励まし
「恐れないで、語り続けなさい」(9) ある夜、主が幻でパウロに語り掛けます。何もかも順調にいっていたように思える状況の中で、彼の中には恐れもあったようです。彼は一体何を恐れたのでしょうか。メンツをつぶされ、パウロのことを憎々しく見ていたユダヤ人たちを恐れていたようです。また、旅の疲れもあったでしょう。肉体的、精神的に疲れを覚えていたと思います。先のことが心配になって、漠然とした不安と恐れを感じていたようです。「あなたがたのところに行った時の私は、弱く、恐れおののいていました」(Ⅰコリント2:3)パウロも、人としての弱さを覚えていたのです。私たちもそうですね。パウロは正直に心の思いを主に打ち明けていたと思います。そんなパウロに主は直接語り掛け、励ましを与えました(9,10)。「恐れないで、語り続けなさい」と命じています。その命令には3つの約束が伴っていました。①「わたしがあなたとともにいる」主が共にいてこのことをなしてくださる、パウロが一人でやるのでないという約束です。②「あなたを襲って危害を加える者はいない」主がいかなる敵や困難からも守ってくださるとの約束です。そして、③「この町にはわたしの民がたくさんいる」この町には主の愛する多くの民がいて、主は彼らが救われることを願っておられる、という約束です。こうして神様は約束の言葉を与えて、弱さを覚えていたパウロを励まし、力づけました。
「そこで、パウロは一年六か月の間腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。」(11)彼は主の励ましのことばに応答して、その地にしっかりと根ざして福音を語り続けました。そうして「コリント教会」が建て上げられていきます。

5)主に守られて
そんなある時、ユダヤ人たちがパウロを地方総督ガリオに訴え出ます。彼らはパウロを町から追い出す機会を狙っていたようです。この世の権力に訴えたのです。しかしガリオは、パウロが弁明する前に彼らの訴えを退けてしまいます。パウロは、大きな試練に直面しましたが、彼の信仰とは全く関係ない異邦人の権力者の手によって守られました。このことの背後にも神様の守りがありました。また、このガリオの判断が先例となって、しばらくの間、パウロは帝国内を自由に巡って大胆に福音を語ることができたようです。

6)私たちへの主の励まし
今日の箇所から、コリントの町で、パウロには神様からの大きな励ましと助けがあったことが分かります。①アキラとプリスキラという、すばらしい仲間との出会いがありました。②ユストやクリスポなど、多くの町の人々がイエスを信じて救われました。③彼が弱さを覚えた時、主はパウロに直接語りかけ、約束を伴う励ましの言葉を与えました。④また、時の権力者によっても守られました。本当に、神様のなさることは不思議です。

そのように、神様は私たちのことも覚えてくださっていて、励ましておられます。私たちが何か思い悩む時、不安や恐れを抱く時にも、神様は「恐れないで語り続けなさい」と言っておられるように思います。「何も心配しないで、あなたのなすべきことをしなさい」、「わたしが共にいてあなたを守るから、安心してその道を行きなさい」と言って、私たちの背中を押してくださっているのではないでしょうか。その励ましの言葉に力をいただいて、私たちも、パウロのように主に信頼して、前を向いて、自分の信じる道をまっすぐに歩んで行きたいと思います。

また、「この町には、わたしの民がたくさんいる」という言葉も、ぜひ心に留めたいと思います。神様は、すべての人が救われることを望んでおられます。私たちの町にも多くの神様の愛する人々がいます。このことを覚えて、私たちが今置かれているところで、周りにいる人々の救いのために祈ってまいりましょう。そして、私たちにできることをなしていきたいと思います。