主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

創世記27:1-29「弱さの中にも働く恵み」    齋藤牧師

【礼拝メッセージ要旨】

今日の箇所には、イサクが晩年になって彼の跡継ぎを巡って家族の中に起こった大きな事件が描かれています。対外的には平和を求めたイサクでしたが、家庭の中では争いが起きてしまいます。

1)イサク、エサウを跡継ぎに
イサクは晩年になって自分の跡継ぎのことを考えて、長男のエサウを祝福しようとして彼を呼び寄せました。イサクは、神様のみこころは次男のヤコブが祝福を受け継ぐと示されていたことを知っていたはずです。しかし、自分の好みでお気に入りの息子のエサウを祝福しようとしたのです。主のみこころよりも、自分の思いを優先させてしまいました。私たちも、大事な判断をしなければならない時に、祈り求めることなく、ただ自分の願いや思いで判断し、行動してしまうことはないでしょうか。

2)リベカの策略
そのことを聞いていたリベカは、何とかしてヤコブに祝福を受けさせようとして策略を巡らします。エサウが猟に行っている間に、夫の好むごちそうをこしらえ(味覚)、ヤコブにエサウの晴れ着を着させ(嗅覚)、毛深いエサウを装うために子ヤギの毛皮をまとわせます(触覚)。リベカは、主のみこころを知っていましたが、それ以上に、彼女がヤコブを愛していたからです。それが主のみこころと言い聞かせながら、結局は自分の思いで行動していたようです。盲目の夫を騙してでも、自分の願いを実現しようとしました。私たちも、自分の願いや思いを「主のみこころだ」と言って、何が何でも自分の思いを貫こうとしたり、人の言葉が聞けなくなってしまう、ということはないでしょうか。

3)父を欺くヤコブ
そうしてヤコブはイサクの前に出て行って、「私は長男のエサウです」と堂々と嘘をつきます。神様の名を利用してまでも父親を騙そうとしたのです。ついにイサクはそれがエサウだと信用してヤコブを祝福してしまいます。
ちょうどそこへエサウが猟から帰ってきて、ヤコブから騙されたことを知ります。しかし、イサクはヤコブに与えた祝福を取り消すことはしませんでした。この出来事の背後に神の力が働いておられたことを知り、恐れを抱いたのではないでしょうか。祝福をヤコブに奪われたエサウは嘆き悲しみ、父に泣いて懇願しました。しかし、彼はかつて一杯の煮物と引き換えに神様から与えられた大切な長子の権利を自ら手放していたのです。自分は長男だからいずれ跡継ぎになるはずだと安易に考えていたようです。エサウはヤコブを逆恨みして殺意を抱きます。

4)何が問題だったのか?
神様に祝福されていたはずのイサクの家族に、こんなにも悲しい出来事が起こりました。このことは、私たちの中にもある罪の現実を物語っているように思います。みんな自分のことだけを考え、自分の利益を求めていました。「自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい」(ピリピ2:4)人は本来自己中心的に生きています。しかし聖書は他の人のことも顧みなさいと教えています。なかなか難しいことです。しかしイエス様はこのことを完全に実行されました(ピリピ2:6,7)。このイエス様の姿を見つめ続けていきたいと思います。

5)主はみこころを進められる
今日のところから教えられることとして2つのことを確認したいと思います。一つは、「神様はみこころを進められる」ということです。イサクの家族それぞれに思惑がありましたが、結局、次男のヤコブが神様の祝福を受け継ぎました。神様は、彼らの弱さを通してもみこころをなされました。「人の心には多くの計画がある。しかし主のはかりごとだけが成る。」(箴言19:21)人の思いや計画を越えて神様はみこころを実現されます。私たちの中にもいろんな計画がありますが、主のみこころがなされていく、ということを受け止めたいと思います。

6)弱さの中に働く恵み
二つ目のことは、「私たちの弱さの中にも主は恵みを注がれる」ということです。神様はみこころを進められますが、私たちのことを全く無視してただご計画通りに進められる、ということではありません。神様は、あわれみと真実をもって私たちのことを取り扱ってくださいます。イサクの家族の中にも弱さがありましたが、神様はこの家族のことを決して見放すことはなさいませんでした。20年後、エサウとヤコブは和解をし、イサクは二人の手によって、墓に葬られます。そうしてイサクから祝福を受け継いだヤコブからイスラエルの12部族が生まれ、その祝福がイエス様へとつながっていきます。

私たちにも弱さがあります。しかしその弱さの中にも主は働いてくださって、あわれみと真実をもって豊かな恵みを注いでくださいます。イエス様の十字架の出来事はまさにそうでした。感謝をもって、私たちの思いを越えてみこころをなさる主なる神様に信頼を寄せて、お従いしてまいりましょう。