主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

マタイ1:18-25「愛と思いやりの心で」    齋藤牧師

【礼拝メッセージ要旨】

今日はこの箇所から、イエス・キリストの父親となった「ヨセフ」という人に目を向けていきたいと思います。ヨセフは、「イエス・キリストの系図」の中で「マリヤの夫ヨセフ」と紹介されています。イエスの母となったマリヤに比べると、ちょっと目立たない、地味な脇役と映るかもしれません。それでも神様は、ご計画の中でヨセフを選び、マリヤの夫として、家長として、そしてイエスの育ての父親として大切な使命を与えてくださいました。

1)ヨセフの苦悩
ヨセフはマリヤと婚約していましたが、その婚約期間中にマリヤが妊娠していることが判明しました。常識的に考えれば、マリヤは他の男と関係をもって身ごもったということになります。ヨセフは相当なショックを受けたと思われます。世の中の普通の男性であれば、絶対に赦せないという思いになって、仕返しすることも考えるかもしれません。またユダヤの社会では、婚約中の不貞は大きな罪とされ、厳しいさばきを受けなければなりませんでした。ヨセフは悩み苦しんだ末に、人に知られないうちに婚約を解消して離縁することを決意します。彼は、マリヤを「不貞の女」として訴え出ることはしませんでした。マリヤのことを思いやって、マリヤとお腹の子どもを守ろうとしたのです。神の戒めに背くような罪を犯したマリヤを妻として迎えることはできない。しかし、彼女とお腹の子どもは助けてあげたい。彼の中にそんな葛藤があったと思います。ヨセフは、マリヤのことを愛していました。仕返しをしようなどとは少しも考えずに、マリヤのことを思いやりました。このヨセフのことを、聖書は、「彼は正しい人であった」と言っています。彼の中には、怒りや嫉妬や憎しみといったものは一切感じられないように思われます。自分のことよりも、相手のことを思いやりました。

2)ヨセフへの御告げ
そんなヨセフに、神様は御使いを遣わします。「ダビデの子ヨセフ」と呼びかけて、マリヤは聖霊によって身ごもったので、恐れずにマリヤを妻として迎えるように告げました。さらに、生まれてくる子は男の子で、名をイエスとつけるように告げられます。「イエス」という名には「主は救い」という意味があります。その名の通り、この方こそイスラエルの民を罪から救ってくださるお方、つまり昔から約束されてきた「救い主」となるお方であることが告げらました。

3)ヨセフの応答
この言葉を聞いて、ヨセフはマリヤを妻として迎え入れます。神のご計画と力によってマリヤは身ごもり、自分たちにこの子が託されたのだと信仰によって受け入れたのです。この時ヨセフの心には、少しの迷いも恐れもなくなっていたと思います。自分の責任でマリヤを妻として迎えて、彼女と生まれてくる子どもを愛し、守っていこうと決心をしました。こうしてイエス様は、ヨセフとマリヤの子どもとして生まれて、愛情を一杯に受けて大事に育てられていくことになります。

4)「神の正しさ」について
最後に、ヨセフの姿を通して教えられることとして2つのことを考えたいと思います。一つは、「神様の正しさ」ということです。ヨセフは「正しい人」でした。受け入れがたいような状況の中でも、マリヤを愛し、思いやりを示しました。このヨセフの「正しさ」には、神様の正しさが現わされているように思います。神様は絶対的に正しいお方で、罪・汚れを受け入れることはできません。本来なら、罪を持っている私たちは神様に受け入れていただくことも近づくこともできないはずでした。しかし神様は、私たち人間を本当にあわれんでくださり、何とかして受け入れたいと願われたのです。そうして神様ご自身が人となってこの世界に入って来られて、私たちの罪を代わりに引き受けるということをご計画されました。全能の神様ご自身が私たちのために大きな犠牲を払ってくださったのです。これも、「神様の正しさ」であったと言えると思います。

5)人を思いやる心
もう一つのことは、「人を思いやる心」ということです。私たちはこれほどまでに神様から愛されています。ヨセフもそのことが良く分かっていたと思います。そして、神様から受けた愛をマリヤに示していきました。私たちも、神様から受けている愛を周りの人たちに現わしていきたいと思います。神様が、イエス様を遣わされたことによって私たちに愛を示し、赦してくださったように、私たちも、相手の立場に立って思いやる心を大切にしていきたいと思います。
今年も、愛と思いやりの心で、クリスマスをお迎えしてまいりましょう。