主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

ピリピ人への手紙4:1-7 「何も思い煩わないで」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。」(ピリピ人への手紙4:6)

【礼拝メッセージ要旨】

私たちは、毎日のように何かのことで心配し、思い煩うものです。今日の個所でパウロは、「何も思い煩わうな」と、ピリピの教会の人たちを励ましています。

1)ピリピ教会にあった不和の問題
パウロはこれまで述べてきたことを踏まえて、ピリピの兄弟たちに「私の愛し慕う兄弟たち、私の喜び、冠よ。」と呼び掛け、「このように主にあって堅く立ってください。」と勧めをしています(1)。パウロがいかにピリピ教会を愛し、心配していたかが分かります。
それでも一つ、パウロにとってどうしても気になることがありました。それまで一緒にパウロを支えてきた二人の姉妹たちが仲たがいをして、歩み寄れない状況にあったようです(2)。彼は、彼女たちに「あなたがたは主にあって同じ思いになってください」と呼び掛けています。このことが心にあってのことだと思いますが、続いて4~6節にかけて3つのことを勧めています。

2)パウロの勧め
①「いつも主にあって喜びなさい」(4)これは、実際には喜べない現実があったことを物語っていると思います。私たちは、いつも喜んでいるでしょうか?もちろん、キリストに出会って罪から救われて神様のものとされたことは私たちの大きな喜びです。しかし実際には、喜べない時もあるわけですね。それでも、「いつも主にあって喜びなさい」と勧めています。

②「あなたがたの寛容な心が、すべての人に知られるようにしなさい」(5) これも二人の姉妹たちのことが念頭にあったようです。寛容な心を示す、というのはなかなか難しいことです。どうしても寛容になれないこともあります。自分のことを理解してくれる人たちに対しては寛容になれるかもしれません。しかし、「すべての人に対して」というのです。「寛容を示す」とは、相手のことばやその思いを尊重して受け止めて理解しようと努めることではないでしょうか。「どうしてあの人はこう言っているのだろう」と、その人の立場に立って考えることです。たとえ理解できなくても、共感できなくても、相手をリスペクトする姿勢は大切なことです。その上で、自分の考えを丁寧に伝えられたらいいと思います。

③「何も思い煩わないで」(6) 教会の中に、思い煩わずにはいられない現実もあったようです。私たちは様々なことで思い煩います。家族のこと、人間関係のこと、お金のこと、将来のこと、病気や死について。人生とはなんと思い煩いが多いのだろうと思わされます。そんなに心配しても何の解決にならないと分かっていても、つい心配してしまいます。そんな私たちにイエス様もこう言っています。「何を食べるか、何を飲むか、何を着るか、などと言って心配するのはやめなさい。」(マタイ6:31)

3)主にあって
いつもこのようにできたらいいなと思います。しかし実際には、喜びなさいと言われても喜べない、寛容を示しなさいと言われても示せない、思い煩うなと言われても思い煩ってしまう、そんな私たちの現実があります。では、そうした現実に対して私たちはどうすればいいのでしょうか?そこで最後に、この個所から大事なこととして二つのことに目を留めたいと思います。
一つは、「主にあって」ということです。今日の個所に「主にあって」ということばが3回出てきます(1,2,4節)。「主にあって」とは、「キリストにしっかり結びついている」ということを示しています。イエス様との生きた交わりをもって、イエス様にしっかりとつながっている、ということです。イエスにつながっていることで、どんな時にもイエス様から知恵と力をいただくことができます。自分の力で何とかするのではないのです。イエス様は、私たちがイエス様につながっていることを「ブドウの木と枝」に例えて話されました(ヨハネ15章)。イエス様は、「わたしにとどまっていなさい」と言っておられます。イエスにつながっているのならば、何も思い煩う必要はありません。イエス様に一切をお任せすることができるからです。このことを信じて、イエス様につながっていることを心に留めたいと思います。そして、どんな時にもイエス様に信頼したいと思います。

4)祈ること
もう一つのことは、「祈ること」です(6)。パウロは、具体的にどんなふうに祈ればいいのか教えています。3点挙げたいと思います。
一つは、「あらゆる場合に」ということです。どんな時にも祈ることです。
次に、「感謝をもって」ということです。日々たくさんの恵みをいただいていることへの感謝を思い起こしましょう。
そして3点目は、「願い事を神に知っていただく」ということです。何か悩みがある時に信頼できる人に相談することがあります。それも必要なことです。しかし、それ以上に信頼できるお方がいます。誰よりも私たちのことを知っていて、こよなく愛してくださる天の神様です。その神様に、どんなことでも相談すること、打ち明けることです。私たちの願い事も、正直に神様に打ち明けましょう。願っていいのです。そして、あとは神様を信じてお任せすることです。

5)神の平安
「そうすれば、すべての理解を超えた神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。」(7)ここに、祈りによってもたらされることが記されています。それは、「神の平安」(神様が与えてくださる平安)です。神様は祈りを通して平安を与えてくださいます。それは、人の理解を越えた、神からの圧倒的な平安です。

このことを信じてイエス様に信頼し、どんな時にも、感謝をもって、心からの祈りをささげたいと思います。