主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

列王記第一1:5-10,28-40 「人の思いによらず」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」(箴言19:21)

【礼拝メッセージ要旨】

今日からしばらく「列王記」から学びます。ソロモン王以降のイスラエルの歴史を通して、王たちとそれを取り巻く人たちや、神に遣わされた預言者たちの姿に学びたいと思います。今日は列王記第一の1章から、ダビデの後継者としてソロモンが即位した出来事に目を留めていきます。

1)アドニヤの反乱
列王記は、ソロモンがダビデの次の王として立てられるところから始まっています。この頃、ダビデは晩年を迎えて、体力も気力も大分衰えてきていました。ダビデの息子たちや側近たちの間では、誰が次の王になるのか大きな関心事となっていたようです。そんな時に、ダビデの王子の一人であった「アドニヤ」が、自分が王になると野心を抱きます。彼はダビデの4男ですが、この時生きていた王子たちの中で最年長でした。彼は、自分のための親衛隊を組織し、クーデターを起こして王権を手に入れようと企てました。アドニヤはなぜ反乱を企てたのでしょうか。ダビデが息子に対して関心を寄せることがなかったことに不満を募らせたようです(6)。多くの妻たちを得て家庭を顧みることない父親、そんなダビデの姿が思い浮かびます。彼は父親の愛情を感じられないで過ごしてきたのかもしれません。アドニヤは王の家来のヨアブと祭司エブヤタルを味方につけます。彼らもダビデに対して不満を感じていたようです。そうしてアドニヤは勝手に王に就任するための儀式を挙行します。その儀式には自分の兄弟たちと王の家来たちを招きますが、預言者ナタンや自分の兄弟のソロモンなどは招きませんでした。そこで、自分がイスラエルの王になったことを宣言しました。

2)ナタンが動く
やがてそのことを預言者ナタンも知ることになります。そしてナタンが動きました(11)。彼は、ソロモンの母親であるバテ・シェバにこのことを告げ、彼女を通してダビデに働きかけて、アドニヤの企みを阻止しようとしました。ナタンはかつてバテ・シェバ事件を巡ってダビデを断罪した人物です。彼は預言者として神の語り掛けを聞いていました。ナタンはソロモンと母親のバテ・シェバの命を守ろうとします。また、神のみこころはソロモンが王になることだと確信していたようです。神はすでにダビデに対して、ソロモンがダビデの後継者となってエルサレムに神殿を建てることになると告げていました(歴代Ⅰ22:9)。それでもダビデは、自分の後継者を誰にするか宣言してはいませんでした。そんな事情をナタンは分かっていて、ダビデに決断を求めたのです。

3)ソロモンの即位
アドニヤの反乱を知らされ、決断を迫られたダビデは、バテ・シェバにソロモンを自分の後継者とすることを約束します。そして、祭司のツァドクと預言者ナタンらにソロモンに油を注いで正式にイスラエルの王として任命するように命じました。こうしてソロモンの就任の儀式が民の前で行われ、イスラエルの民はソロモンが王となったことを心から喜びました(39,40)。

4)この個所から教えられること
この出来事を通して教えられることとして、3つの点から確認したいと思います。
①一つ目のことは、「感情に支配されない」ということです。ダビデの後継者を巡って人々のいろんな思惑が渦巻いていました。アドニヤもヨアブたちも、ダビデに対する不満から反旗を翻したようです。「感情」に任せて、自分の都合だけで行動したのです。「感情」というものは実に厄介なものです。感情に支配されてしまうと、正しい判断ができなくなってしまいます。周りが見えなくなります。そうならないためにも、常に神様に思いを向けていくことが大事です。何か満たされない思いが心に湧いて来た時、全能の神様の前に静まり、祈りたいと思います。そうすると冷静になって、自分を客観的に見ることが出来るようにされると思います。

②二つ目のことは、「神のみこころを求める」ことです。ナタンは、危機を感じ取った時に迷うことなく、即座に正しい行動を取りました。彼は預言者として、常に神のことばに聞いて、みこころを求めていたのです。王を霊的な面で支えるアドバイザーとして、王に忖度することなく言うべきことをハッキリと助言しました。神は何を望んでおられて、神のみこころはどこにあるのかをいつも考えていたのではないでしょうか。私たちもこのナタンの信仰にならいたいと思います。正しい判断ができるように、神のみこころはどこにあるのかを常に祈り求めていきたいと思います。時には、「ノー」と言うことも示されることがあるかもしれません。日頃からみことばを思い巡らし、祈る時を大切にしていきたいと思います。

③最後に三つ目のことは、「神のみこころがなる」ということです。神はヤコブの4男のユダを選び、キリストにつながる系図に入れられました。また、エッサイの息子の8男のダビデを選びました。そして多くの王子たちの中からソロモンを選ばれたのです。このように、神の選びは人の思いとは関係なくなされます。「人の思いによらずに」神は選ばれるのです。「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」(箴言19:21)ソロモンの即位を巡って人の様々な思いが表れましたが、神のみこころが実現しました。神のなさることは、人には完全にははかり知ることができません。神のご計画は、人知をはるかに超えたところにあるからです。このことをぜひ心に留めたいと思います。

私たちの人生にも、神様はご計画を持って、導こうとされておられます。このことを覚えて、神のみこころがなると信じて、みこころを求めて、導かれてまいりましょう。