主日礼拝メッセージ(赤文字をクリックするとメッセージが聴けます。MP3ファイル)

創世記38:1-30 「弱さのうちに働く恵み」  齋藤牧師

【今週のみことば】
「私たちが滅びうせなかったのは、主の恵みによる。主のあわれみは尽きないからだ。」(哀歌3:22)

【礼拝メッセージ要旨】

ヨセフ物語が始まったと思いきや、今日の38章には、なぜか四男のユダの失敗の出来事が描かれています。

1)家を離れるユダ
その後、兄たちは父のもとに帰りますが、ヨセフを売り飛ばしたとは言えずに、ヨセフが野の獣にやられたように見せかけて父ヤコブを欺きます。父がひどく悲しむ姿を見て、兄たちは良心の呵責を感じたでしょう。そんな時に四男のユダが、なぜか一人家族から離れて行き、カナン人の娘と結婚し、家庭を築きます。あの事件のことが影響していたと思われます。ユダは妻との間にエル、オナン、シェラの3人の息子たちをもうけ、その後長男エルにタマルを妻としてめとりました。しかし、エルは主を怒らせて死に、当時の習慣に従ってタマルは次男オナンの妻となります。オナンもまた主を怒らせて死んでしまいます。残された息子は三男のシェラだけとなりますが、ユダはシェラまでも失ってしまうことを恐れて、タマルを実家に帰してしまいます。彼女は、ユダ家の未亡人という身分のままで放っておかれることになりました。

2)ユダの失敗
その後、シェラが成人して後も、ユダはタマルを呼び寄せようとはしませんでした。ある時、ユダの妻が亡くなり喪が明けてから、ユダは羊の毛を切りに出かけます。そのことを知ったタマルは大きな決心をします。ユダがシェラを与える気がないならば、自分の手によって舅ユダの子をもうけようと企てたのです。彼女は遊女に変装して、ユダの通る道で待ち伏せしました。その遊女を見つけたユダは、タマルとは知らずに彼女に声をかけて関係を持とうとします。タマルはその見返りとして、ユダの印形とひもと杖を求めました。ユダは、彼の身分を証明する大事なものを安易にも遊女に扮したタマルに渡して、彼女と関係を持ってしまいます。タマルはユダの子を身ごもります。その後、ユダはそれらを取り返そうとしますが、彼女を見つけることができません。彼はタマルの策略にまんまと引っ掛かってしまいました。

3)悔い改めるユダ
それから3か月して、タマルが売春をしてみごもったという知らせがユダにもたらされました。ユダは激しく怒り、「あの女を引き出して焼き殺せ」と命じますが、タマルはユダから受け取ったあの証拠の品々を差し出しました。動かぬ証拠を突き付けられて、ユダは観念します。「あの女は私よりも正しい」と告白し、自分の犯した罪を認めて、悔い改めました。

この出来事は、ユダの人生の汚点となるような失敗の出来事となりましたが、この失敗を通して、彼は自分の弱さを自覚できたのではないでしょうか。このことを通して彼は変えられていきました。その後ヨセフ物語の中で、ユダが身を挺して兄弟を守ろうとする姿が描かれています。実は、父ヤコブの祝福を受け継ぐのは、ヨセフではなくこのユダでした。マタイ1章にある「イエス・キリストの系図」の中に、ユダとタマルの名が記されています。ユダもタマルも、罪を赦されて祝福を受けました。そして、彼らの子孫として救い主イエス様が生まれてくるのです。こうして、ユダの大失敗と思われた出来事が、彼にとっての恵みの機会となりました。

4)神様はあわれんでくださる
最後に、今日の箇所から教えられることとして2つのことを確認したいと思います。
①一つは、「神様のあわれみ」ということです。大きな罪を犯した二人を神様はあわれんで、赦してくださいました。そしてその失敗を祝福へと変えてくださいました。「主のあわれみは尽きない」(哀歌3:22)私たちも失敗をする者です。そんな私たちをも神様はあわれみ、神の御子イエス様を遣わしてくださったのです。この恵みを忘れないで、感謝をもって神様にお従いしていきたいと思います。

②もう一つのことは、「神様は私たちの弱さをも用いられる」ということです。神様は、ユダやタマルの弱さをも用いてご自身のご計画を進められました。彼らの失敗と思われた出来事を通して神様の栄光が現わされていきました。「わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである」(Ⅱコリント12:9)人の弱さのうちに神様の力が現わされていくというのです。自分の弱さに気づかされ、悔い改めていく時に、神様はそのことを祝福へと変えてくださいます。自分の弱さに気づかせていただけることは、実は大きな恵みなのです。

 どんなに失敗しても、私たちをあわれみ、恵みを注いでくださる神様の大きな愛を覚えて感謝をおささげしましょう。そして、日々悔い改めて、神様にお従いしてまいりたいと思います。